緊急地震速報システム

地震波のP波(初期微動 秒速約7km)と、S波(主要動秒速約4km)の速度差を利用し、主な被害をもたらすS波が到達する前に事前対応を行うことで、地震による被害を防止・軽減することを目的とした情報です。

日本全土には、気象庁と防災科学研究所がリアルタイムで観測を行っている地震計が約1000箇所設置されています。これらの地震計のデータは、光ファイバーネットワークにより気象庁に集められ、解析された上で緊急地震速報として利用者に配信されています。

情報の伝達にはテレビやラジオなど公共の電波を利用する「一般向け」と、学校、企業や集客施設等などの特定の施設にピンポイントの情報を提供する「高度利用者向け」があります。

緊急地震速報の概要

緊急地震速報の概要

たった数秒でも減災効果は大きい

東京大学生産技術研究所
「予告なしの被害者を100%としての被害軽減予測研究データ」より

猶予時間 軽減後被害 軽減前被害 備考
死傷(100) 重傷(100) 中等傷(100)
2秒 死傷 75 - - 地震の認識はできるが、逃避行動はできない。しかし、安全態勢をとり、けがは少なくできる。また、インターネット経由でガスや電気を揺れる前に消すことは可能。
重症 15 75 -
中等傷 5 15 75
無傷 5 10 25
5秒 死傷 20 - - 学校における実証実験で訓練済みの生徒は100%が机の下に潜ることが可能な時間であることが確認されている。
重症 60 20 -
中等傷 10 50 20
無傷 10 30 80
10秒 死傷 10 - - 予告なしのときに比べ、90%命が助けられるとのデータがある。普段から訓練していれば、倒壊危険性の高い家の場合は住人は外に逃げ出すこともできる。
重症 30 10 -
中等傷 50 30 10
無傷 10 60 90
20秒 死傷 5 - - 予告なしのときに比べ、95%命が助けられる時間。
落ち着いて家族に声をかけたりできる。
重症 15 5 -
中等傷 30 15 5
無傷 50 80 95

「高度利用者向け」と「一般向け」の違い

緊急地震速報には、利用者側で各種設定が可能な情報として伝達される「高度利用者向け」と限定されたシンプルな情報として伝達される「一般向け」があります。

「高度利用者向け」緊急地震速報(予報)

高度利用者向け緊急地震速報が従来の地震情報と異なる点は迅速性です。気象庁は下図のように地震を検知してから数秒~1分程度の間に数回(5回~10回程度)発表されます。第1報は迅速性を優先し、その後提供する情報は徐々に高くなっていきます。

高度利用者向け緊急地震速報の発信条件は、気象庁の多機能型地震計の1つ以上の観測点においてP波またはS波の振幅が100ガル以上となるか、もしくは解析によりマグニチュード3.5以上または最大震度3以上と推定された場合です。

「高度利用者向け」と「一般向け」の大きな違いは、以下の3点があります。

  1. 「高度利用者向け」は、実際に発生した地震を利用して、ユーザーの希望に応じて、実勢的な地震防災のリハーサルや訓練の機会も提供することが可能です。「一般向け」は、実際的な訓練等の機会は得られません。
  2. 「高度利用者向け」は、緊急地震速報の技術的限界から誤差は避けられないとしても、「予測震度3」と教えてくれた場合には、「1.実際の震度は決して6以上ではない、2.非常に大きな揺れは来ない、3.大きな被害にはならない」などを確実に教えてくれます。これこそが、「高度利用者向け」の“安心”の効果の一つであり、「一般向け」にはない効果です。
  3. 「高度利用者向け」は、その施設に対する具体的な予測震度や猶予時間を教えてくれますが、「一般向け」は、地方名や都道府県名等の広域での情報となり、また予測震度や猶予時間は発表しません。

「一般向け」緊急地震速報(警報)

一般向け緊急地震速報は、テレビ、ラジオや携帯電話等などの公衆へ提供する警報です。各放送局等によって表示方法は異なります。

一般向け緊急地震速報の発信条件は、地震波が2つ以上の地震観測点で観測され、最大震度5弱以上と予測された場合で、地震の発生時刻、震源の推定値、震央の地名、震度4以上と推定される地域名の速報を行っています。

具体的な予測震度値は、誤差を伴うものであること、できるだけ続報を避けたいことから発表をせず、「強い揺れ」と表現しています。また猶予時間については、気象庁から発表する対象地域の最小単位が、都道府県を3~4つに分割した程度の広がりを持ち、その中でも場所によってかなり異なるものでもあるため、発表されません。

一般向け緊急地震速報は、震源の位置や震度を予測する際に、情報の処理に伴うタイムラグを生じる場合があります。また、震源や震度などの情報が末端まで配信されるまでの間にも、タイムラグが生じることがあります。地上デジタル放送・BSデジタル放送は約2~3秒、ワンセグでは約4~5秒と現在の地上アナログより遅れて放送されるため、さらにタイムラグが伸びる可能性があります。